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四十七踏み目 飯盛神社

2008年02月18日
三角形の山には神宿る

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●飯盛神社
 所在地 福岡市西区飯盛609
●主祭神
 本社 伊弉冉尊(いざなみのみこと) 中宮社 五十猛尊 
●ご利益
 縁結び、福徳円満、森林守護、病魔退散、などなど。

 自宅から自転車に乗り、小1時間ほど両足を回す。すると、三角錐の山の中腹よりちょい下だから、下っ腹のあたりに銀色に鈍く光る鳥居が見えた。飯盛神社中宮社の「アルミニウム製では」日本一の大鳥居である。
 古来より、神様はとんがったところに宿ると信じられてきたそうだから、この山容はズバリそのものであるなぁ。何となくこの方角だなっと、チャリンコを走らせていたので山と鳥居を発見した時はホッとした。お導きがあったぁ。

 飯盛神社といえば、流鏑馬やら元日の武射祭やら武張ったイメージが強い。が、縁結びの神様なのだという。
 いつもお世話になっているとあるお方に年初「今年か来年か、嫁取りをしなければなりませんよ、あなた(タカノのこと)」といわれた。そうかそうか。いや、この方はお会いするたびにそう言うてくださるのだが、ボクは「はぁはぁ」とそれとなく聞き流しておったのだ。
 ただ今回は「いいご縁を得るためには、飯盛神社に行くのがおすすめです! あすこは素晴らしいお社ですよ!」と強くすすめられたのだ。今年来年がいわゆるラブ運が絶好調というわけではなく、そろそろ、もういい加減にせい、というニュアンスが濃厚。家族親族にはもうそういうことも言われなくなっていたが…。
 うーむ。それならば行くしかないではないか。ということで、運動をかねてチャリンコを走らせたのだった。

iimori02.jpg 飯盛神社は2月14日から「かゆ占」を絶賛実施中である。かゆ占とは、神人が粥をたき、盛りつけて置いておき3月1日に表面に生えたカビの状態で、その年の稲作吉凶判断を行うというもの。
 小学生のころ机の中でカビパンを作って、先生には大目玉、なおかつ差別と嘲笑を持って白眼視されたことがあるが、当然ながら「かゆ占」とは関係ない。
 かゆ占といえば、佐賀県の千栗八幡宮でも行われるが、福岡県西方沖地震があった年の神事ではホンットに久しぶりに「地震に注意」というご神託が出た。地震の日、神主さんに電話取材したことがあった。
 カビのはえ具合なんてトコロに、ホントのことって表れているのかもしれんなぁ。読み取る人のセンス次第なのかなぁ、なんて思ったことがある。

 鳥居をくぐると、目の前に本宮。本宮の主祭神はイザナミミコト。大八島を産んだ国生み神話の女神である。イザナギノミコトと結婚して、国生み神生みする。火の神を産んだときにお隠れになり、黄泉国を治めるようにもなったと信じられている
 男神と結ばれることによって、日本列島や天照大神などの神を「産霊(むすび)」、死してなお黄泉国で別の生命を持つ、生命や魂の連続(=むすび)をも象徴している。
 むすびとはものすごく奥行きのある言霊なのである。何か新しい可能性を生み出すものが産霊ということならば、ぜひあやかりたい。

 本宮は慶長のころというか江戸時代初期に再建されたものらしい。
iimori04.jpgiimori03.jpg 飯盛山は天孫降臨のときに天太玉命がイザナミノミコトをお祀りしたそうで、平安時代清和天皇の御代に山頂にイザナギノミコトを祀る上宮を建てたという。中世以降は、土地の武家に尊崇されていたようで、山頂には城もあった。粥を器に盛る神事があるから飯盛なのか? 飯盛の地名にあやかってかゆ占が始まったのか? それは謎。

アルミニウム製

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 さて、今回はきっちりと飯盛山頂まで登り、上宮跡にも参詣する心づもりだった。ふっと空を見ると白いものがチラホラ。正午を回ったばかりだというのに、グッと体が冷えてきた。足下は、一応ビブラムソールのワークブーツを履いてきたが、靴底はツルツル。標高385mを若干舐めていたかもしれない。
 ひとまず中宮を目指す。中宮までは道路が舗装されていて、車でグイグイ登れる。
 途中、西之宮という小さなお社があったので、立ち寄る。大山咋神をお祀りしているとかで、平成16年に再建されたものらしい。中世から戦国時代にかけての戦乱で、飯森山付近はかなり荒廃したらしい。現在になり、荒廃する前の姿を取り戻そうとしているのは、貴いことですな。

 麓からちらっと見えたアルミニウムの大鳥居が見えてきた。にぶく光る白銀の鳥居は、木々の隙間から見るとものすごく人工的で、最初は何かでっかい建物が建っていると感じた。中宮の祭神は五十猛神。えーとこの神様は、十五踏み目の荒穂神社でいろいろと書いているので、そちらをご参照の事。
 森の神様である。飯盛山中には、趣き深い木々もニョキニョキ生えていて、何たるご神威! とおののいたが、それだけにアルミニウムの鳥居はやはり異質な感じはする。錆びない朽ちないという素材は、久遠なる神のご加護をイメージする新素材ということか。
 境内には湧水が湧いていて、水汲みに来る人もチラホラといた。飲んでみると、キリリと冷たい! うまいのだろうが、小雪まじりに飲むと、体が冷えた。

 ここから上は、山道なり、と。道のりは、先週行った宝満山よりアドベンチャーだった。
 途中、磐座とおぼしき巨石がゴロゴロとあった。看板のある名のありそうな磐座に限らず、途中何かを感じた巨石だけを撮影した。
 ふっと気になる。それだけでパワーとかエネルギーを感じたことと同じだとボクは思っている。強烈な何かを感じるような神秘体験ではなく、フッと感じる感覚を、無視しない。それが何だろう、ご利益をいただいたり、悪いものにだまされない秘けつなんだと思う。
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 ロープにつかまりツルツル足を滑らせながら、登頂。本宮からざっと1時間というところ。上宮跡はこんな感じで、ここに城があったのか。たしかに、この眺望は戦略性高いかもなぁ。早良の平野部が丸見えだし、天気がいいと壱岐まで見えるというし。
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知恵の水
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 登り以上にツルツル滑りながら下山。平地に戻ってきたころには日が差してきて、ほんわかな空気になる。山中の常緑樹の葉っぱも生気があふれていた。山道を歩いていると、ヤマガラとかメジロといった野鳥が、道のそばでフンフンっと食べ物を探していた。冬も土壇場で、食事を得るために苦労しているようだ。
 春ももう近いから、がんばるんだ!

 といいつつ、ボクも小腹がすいたので鳥居の前の露店で名物「武射餅」(5ヶ入り550円)を購入。よもぎが3つに白いのが2つ。さっそくよもぎを2ヶつまみながら、文殊堂へ。

 飯盛神社の神宮寺として建立された真教院。もともとは七堂伽藍の大寺で、末寺も七寺あったという大寺院だった。足利幕府の衰退で文殊堂以外は無くなり、寛文のころに一時復活したものの、明治の廃仏毀釈でまた規模が縮小したという、一息で語るには息切れするほどの、毀誉褒貶がある文殊堂である。
 文殊菩薩は知恵の仏様。学問の神様でもあるからして、受験シーズンはさぞやにぎわったことだろう…。だが、この日もにぎわっていた。
 焼酎大五郎4リットル瓶を何本も携えた家族。車も続々とやってくる。この境内には「知恵の水」という湧水がコンコンと湧いていて、それがお目当てらしい。
iimori14.jpg 大五郎の瓶をとっかえひっかえしている家族の人に「この人たちは何本大五郎を飲み干したんだ?」と思いながらも、柄杓一杯の水を割り込ませてもらった。
 水はねえ、指を入れてみるとほんのり暖かい。中宮の水は胃にしみるほど冷たかったが、ここのはトロリと甘くて、良い水ですな。
 無料で酌めるんだから、並ぶのも納得。でも、みんなタダでもらい過ぎのような気もするなぁ。

 十三仏もあった。阿弥陀仏の前で「おん あみりた ていせい から うん」とマントラを唱えて、手を合わせる。十三仏はボクが見た限りでは、仏様は横並びのところが多かったけど、ここはグルリと囲まれている。文殊堂は文殊堂で、民間信仰な感じがほどよくてかわいかった。奥に十一面観音が祀られているお堂があったので行ってみると、中で真言を唱えながら頭をすりつけんばかりに祈願している方がおられた。5分ほどまったが、声はしだいに大きくなるばかり。一向にに終了する気配もないから、戻る。
iimori15.jpgiimori16.jpg   道すがら、梅の花があちこちで咲いていたのが心にとまった。紅梅よりも白梅の方がなんとなく好きだったけど、この日のような薄曇りドンヨリな空の下では、紅梅の方が映える。ラブ運上昇のために、護符とかお守りを買おうかと思ったが、なんだかなぁ。
 ハートマークが散らばっているヤツが多くて、ちょっとなー。仕方ないので、飯盛宮神事由来記なる冊子を購入した。今、読んでみると「本宮は筑前国早良群の宗廟なり」。
 そっかー。室見川を超えると異郷な感じがしていたけれど、神様的にもそうだったんだな。チャリで一時間足らずでここまで行けるなら、たいていのところはチャリで踏み踏みできそうな感触を得た。

執筆者: 高野龍也
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高野龍也 1971年福岡市生まれ。
印刷会社営業から、地元出版社勤務、フリーペー パー発行などを経てフリーライターに。2001年から3年間、某紙 企画で九州各地を取材して放浪。市町村単位で150市町村を踏破。 2005年10月よりペーパーカンパニーに参画。現在も紙面、企業広報紙、ホームページなどにて執筆。趣味は、写真を撮ること。パイプおよび喫煙。散歩。
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