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「あなたとは違うっ」辞任会見に、渇っ。
福田首相は、会見が他人事みたいだと問うた記者に対して
「私は自分のことは客観的に見ることができるんです。あなたとは違うんです」と最後に気色ばんで・・・辞めた。
大学生の頃の話だから、二十年以上も前になる・・・。
京都にあった四畳半の下宿の部屋には、黒電話もないものだから・・・デートのキャンセルなんてできやしないっ。
病気になっても、何しても、そこへは行かなきゃならなかった。電報で、デートのドタキャンを受けたりもした。
一人に一台携帯電話を持っている現在、嘘みたいな話しだろうっ。
デートの約束の地に、やっとこ辿りついても、そわそわ。
相手が時間に遅れたら「何かあったのか」と心配したり。
「やっぱり嫌われたか」と嘆いてみたり・・・。
携帯電話で直接確認できる現在とは違う「複雑な時間」が「待つという行為」には、滔々と流れていたっ。
勝手に、相手を想う気持ちを膨らませたり・・・
その想いが強すぎると・・・いつか、焦燥になって・・・憎しみにもなっていったりする。
通信の不便による「待ちこがれる時間」は、
人間力を育ててきたのではないかと思うっ。
「会えない時間が愛育てるのさ」と書いたのは阿久悠先生だっ。
意のままにならないもの、どうしようもないこと・・・そういうものに感受性は磨かれてきた。
簡単に約束を反故にできる。
場所や時間の変更をオンタイムにできる。
相手に流れている時間への想像力を欠いたコミュニケーションを、通信技術の加速が助長しているっ。
通信技術の進化がもたらす「いつでも、どこでも」繋がれる環境は、
ビジネスにとって、格好の舞台になる。
しかし、その利便が、「いつでもいい、どこでもいい」コミュニケーションの氾濫になっているっ。
待たなくてよい社会。待つことが出来ない社会。
「待つ」ことを忘れてしまった社会は、ますます不寛容になる。
上場企業の社長さんは、みんな嘆いている。
四半期(たった3ヶ月)の業績でもって、その手腕をあーだこーだ言われても・・・。
個人株主は、短期でしかその企業を見ない。長い目で、成長を待たない。
3ヶ月先の未来しか語らない企業や株主って、どうだろう。
3ヶ月先の未来しか見えない国って、どうなんだろう。
合理的に、ドライに、企業を短期的評価で見るのもいい。
それも、ひとつの基準ではあるから。資本主義経済とは、そういう構造のものだから。
しかし、
最近の経済学では、消費者や企業の行動を決めるもっとも重要な要因は心理だと言われ出した。
人々が単純な「合理性」にもとづいて行動しないことが明らかになった以上、
短期で最大の効果を出すという、単純で合理的な基準を捨てる理論を確立する必要があると思う。
メカニカルな最適行動を想定するマクロ経済学では、現在のようなグローバルな危機を説明できない。
いくら公共投資や、税制対策を続けても、根本的な解決はできない。結局、先送りだ。
いつ辞めてもいいと考えているリーダーのいる国では、
国民の未来へのモチベーションは沸き上がってこない。
いつ辞めさせらかわからない社長のいる企業では、
社員の忠誠心もロイヤリティも、育たない。
Human=人間の、語源は、ラテン語のHumusであると、どこかで読んだことがある。
ラテン語Humusの意味は、腐葉土。
意のままにならないものを受け入れて、それでも待って待って・・・・
未来の訪れのために構える、備える、主体性がある。
自分を越えたものにつきしたがう精神に根付いた主体ある言葉が、ヒューマンの語源だ。
腹を決めるということは、人事を尽くして天命を待つことだ。腐葉土になる覚悟のことだ。
「待たない人間」は、腹を決めてない。いつも傍観者である。だから、傲慢な欲望を表す。
福田首相は、会見が他人事みたいだと問うた記者に対して
「私は自分のことは客観的に見ることができるんです。あなたとは違うんです」と最後に気色ばんで・・・辞めた。
国に対して、国民に対して、客観的=傍観者であろうとし続けたリーダーとしての本音だろう。
未来に繋がる国益を生み出し続ける腐葉土になるような政治基盤を作ることに人事を尽くしたのではなく、
短期の政局を睨んで傍観者として立ち振る舞っていたからこその結論なのだろう。
「自分を客観的に見ることができる」と言ってしまうリーダーの、リーディング能力は、たかが知れている。
「あなたとは違う」と言ってしまう腹座りの悪さは、どうだろう。
その言葉を、2ちゃんねるで叩かれている現状を見ると、
いまの若者達の感性は、意外と正しいのではないかとも思う。
待つことを忘れた国民。待つことを許さないマスコミ。短期の政局運営で動く政治。
みんなが同じ速度で動いている。
その時間を止めようとする、速度を変えようとする思想や主体が生まれてこないかなと期待する。
無様でも何でも・・・傍観者として言葉ではなく、主体性ある言葉でもって・・・
「待ちなさい」と喝破できる腹の据わった首相の出現に期待する。
この時間の流れに竿をさせる器のあるリーダーを期待する。