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テレビ業界の悪あがき?
テレビ視聴率調査の「ビデオリサーチ」は、これまで集計できなかった「録画による視聴率」を測定できる装置を開発したというニュースが先日流れた。
何故?今更?この時期に?疑問なのである。
そのニュースは、下記のようなもの。
読売新聞2月5日配信
テレビ視聴率調査の「ビデオリサーチ」は、これまで集計できなかった「録画による視聴率」を測定できる装置を開発した。
番組放送時の視聴データしか測定できない現在の視聴率が、実態を反映していないという批判が多いだけに、視聴率そのものを根本的に見直す契機になりそうだ。
現在、テレビ地上波放送の視聴率は、ビデオリサーチが唯一の調査会社。同社は、全国の地域ごとに一定数の世帯を抽出、視聴率測定機器を各家庭のテレビに 設置し、視聴データをオンラインで集計している。しかし、測定されるのは放送時に視聴された番組だけで、録画後の視聴やチューナー内蔵パソコンなどによる 視聴は技術的に集計できなかった。
今回、同社が開発した新測定機器は、録画番組の視聴時にテレビから出る音声をデータベースと照合することで、どの番組を見たかを判定できる。チューナー 内蔵パソコンによるテレビ視聴を測定する装置も開発した。これらは同社が5、6日に東京都内で開くフォーラム「データビジョン2009」で正式に公表する。同社は、「この技術により、より正確な番組視聴実態の把握が可能になった。導入にはテレビ局や広告主企業など関係業界の意見の調整が必要。検討してもらいたい」としている。
録画した番組を再生したときの音声で照合し、その番組の正確な視聴率に加算しようということらしい。総視聴率も下がり続けて、テレビの凋落が騒がれる中・・・実は、録画視聴を加算すれば、たいした落ち込みではなく、媒体価値は変わらない=広告費の維持。そんなロジックを組み立てたいところだろうが、本当にそうなのか?
そもそも、録画した番組に入っているコマーシャルを律儀に観る人など希少な存在なのではないか。番組の視聴率が、録画による視聴を加算することによって上がるとしても、CMの効果が高まるとは考えにくい。さらに、「ハイそうですね」という広告主が居るわけもない。
念のため・・・ここで視聴率調査の基本知識とその誤差についてふれておきたい。
視聴率調査に使用するサンプルは、関東地区内だとたった600世帯。関東地方には、約1600万世帯が存在しており、その中から選ばれているのはたったの 600世帯で視聴率が測られています。
統計学的には、そのサンプル数で充分だと言われているが・・・当然、その数値には、誤差が含まれている。
では、その誤差は+-どれくらいなのか?
audience-rating.comから抜粋すると・・・
「統計学でこの誤差を計算するための式がちゃんと存在します。・誤差=+-2×ルート(視聴率(100- 視聴率)÷サンプル数)この式に視聴率20%、サンプル数600世帯を代入してみると・誤差=+-3.3%の答えが得られます。このことから、視聴率 20%と発表された番組の実際の視聴率は、95%の確率で16.7%~23.3%の範囲に入っていますよ、ということが言えるのです。なお、この誤差は視聴率50%のときが最大で、その時の誤差は+-4.1%です。」ということだ。
であるなら、たった「1%の視聴率」に一喜一憂するテレビ制作の現場とは何か?
過去に日本テレビの編成局のプロデューサーが、探偵業社を使って視聴率の不正操作を行った事件[/url]があったが、その職を賭けてまでの不正行為で操作できた視聴率は、せいぜい1%だったという。そんなの、誤差の範囲ではないか・・・バカらしい。
そして、この「録画による視聴率」の加算も、せいぜい誤差範囲に収まる程度のものではないかと思う。
さらに、番組途中のCMタイムは、リモコンによるザッピングで視聴率が落ちる。ましてや、録画した番組のCMに影響を与えられる人などいないのではないかを考え合わせると・・・今回のビデオリサーチの新測定器導入のニュースは、あまりに虚しい。ビデオリサーチの株主が民放各局であるわけだから→このニュースは、「民放各局は、絶対、視聴率にごたわります」という宣言に聞こえる。
「録画による視聴率」なんて測っても、テレビ凋落の根本的な問題の解決には至らない。世間の感覚とはズレた議論である。
いまテレビ各局が議論するべきことは、「くだらない番組が増えた」→そんな批判に素直に耳を傾け、普通の感覚を取り戻すことだと思う。
オンタイムの普通の視聴率が上がるための常識的な議論なしに、「録画による視聴率を加算して」広告の営業をされてもいかがなものか?
非常に困難で、リアルな議論ではないのかもしれないが・・・。民放が集まって視聴率調査の会社=ビデオリサーチを運営しているのなら、そろそろ、視聴率以外の有効な質的評価基準を確立する手立てに智恵を集めた方がよいと思う。CM=広告を営業する上で、視聴率以外に客観性をそなえた基準がない現状を打破することに投資をすることが、民放の新たなビジネスモデルの確立にも繋がるはずだ。
広告主は、視聴率一本によるCM取引を卒業したいと考え続けてるはずだ。一面的なものではなく、もっと多角的な指標を、公正一律に測定される新システムこそ、考えるべき測定システムではないか。
ホームページのURL表示の規制をいまだに外せず、録画による視聴率測定に躍起になる。そんな悠長な場合ではないだろうと・・・世間のみんなは、そう思っているはずだ。それが、世間の常識である。