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久々にかっこいいぞ、村上春樹っ。
「財政政策」「金融政策」では不況の出口が見えにくい。
最後の不況対策は、『戦争だ』。
そんな、居酒屋会談をしているビジネスマンは多いと思う。
ほんとにいいのか?いいわけないっ。
『戦争は科学を飛躍的に発達させるが、平和なスイスでは鳩時計しか生み出さなかった』は、映画「第三の男」の中の台詞である。たくさんの戦争とたくさんの発明は、皮肉なことに比例している。戦争に勝つために開発された技術が、豊かな暮らしを支えているという論は、その事例を並べてみると納得せざるをえない。
ベストセブンを選ぶとしたら、こんなところだろうか。
レトルト+フリーズドライ食品
美味しくて、栄養価も高くて、さらに長期保存できる。兵士用の携行できる長期保存食開発の技術が利用された。
パソコン+インターネット
コンピュータは、複雑なミサイル等の弾道計算を瞬時に行うために開発された。「コンピューター=計算機」と呼ばれていたのは、そのせいだ。さらに暗号解読の為に発展し、指揮命令系統の寸断防止のために開発されたアーパネットがインターネット技術へと発展した。
デジタルカメラ
フィルムを使用しない高高度撮影用のスパイ衛星のCCDカメラと電子メモリー技術が合わさって民間のデジタルカメラになった。
電子レンジ
ウィキペディアによると・・・電子レンジは兵器開発の途中で偶然生まれた物で、レーダー波発生用マグネトロン真空管を調理用に応用してできたものとある。発明者はアメリカ合衆国のレイセオン社 の社員でレーダー設備設置技師パーシー・スペンサー が、ポケットの中の食べかけのピーナッツ・クラスター・バーが溶けていたことから、マイクロ通信波が調理に使用可能であることが判明したとされる。
携帯電話
アメリカの携帯電話会社として知られているモトローラー社は、軍事用無線機メーカーとしても有名。軍用のトランシーバーや無線機の技術から、携帯電話は、生まれたのだ。
鉛筆+ボールペン
鉛筆は、ナポレオンのエジプト遠征のときにどこでも書けるように。ボールペンは、高空を飛ぶ飛行機の中で円滑に書ける筆記具として開発された。
カーナビ
GPSや車速パルス、ジャイロなどの自律航法装置を利用して、飛行機や艦船の位置を知る為の軍事技術であったものが民需に転用されたもの。
戦争は、設備投資なしに、武器等の大量の消費を生み出す。
世界的な大義名分があればお金が集まる。
兵士になる=大量の雇用機会を創造する。
武器で壊した街には、また資本がつぎ込まれ生産が生まれる。
戦争は、景気対策、デフレ対策には、もってこいな上に、前述のような技術革新の機会になる。
1941-45 第二次世界大戦
1950-53 朝鮮戦争
1960-75 ベトナム戦争
(1979-89 アフガニスタン危機)
1991- 湾岸戦争(イラク)
2001-03 同時多発テロ・イラク侵攻
大国・アメリカが、10年に一度、戦争をする+させることが、経済的にも必須なのである。
・・・なんて、ここまでが、最後の不況対策を「戦争」だという論の最低限の知識だろう。
そして、人類の最大の発明は、「誰にも終わらせられない戦争」なんだよ。
なんてビールをひっかけながら発してみると、それらしく見える。きっと。
しかし、そんな軽い不況対策を他所に、昨夜、こんなニュースが流れた。
作家の村上春樹(Haruki Murakami)さん(60)が15日、イスラエル最高の文学賞「エルサレム賞(Jerusalem Prize)」の授賞式で記念講演し、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)への攻撃を批判したという。
現地英字紙エルサレム・ポスト(Jerusalem Post)によると、スピーチに立った村上さんは、ガザ地区に 対する攻撃を理由に、日本国内で受賞や式への出席辞退を求める声があったことを紹介。「イスラエルを訪れることが適当なことかどうか、一方を支持すること にならないかと悩んだ」と明かした。そして考えた結果「作家は自分の目で見ていないこと、自分の手で触れていないものは信じることができない。だからわたしは自分で見ることを選んだ。何も言わないよりも、ここへ来て話すことを選んだ」と述べた。
また人間を壊れやすい卵、制度を壁にたとえ「固い、高い壁があり、それに1個の卵がぶつかって壊れるとき、どんなに壁が正しくても、どんなに卵が間違っていても、わたしは卵の側に立つ。な ぜならば、わたしたち1人1人は1個の卵であり、ひとつしか存在しない、壊れやすい殻に入った精神だからだ。わたしたちが立ち向かっているのは高い壁であり、その壁とは制度だ」と語った。
中川財務相の酩酊会見が報道番組を賑わした昨夜、そのスピーチ内容をすべて流すテレビはなかった。しかし、このスピーチの全翻訳が、どの局よりも早く個人ブロガーの間で広がったことに、「世の中って捨てたものじゃないと」と思わせてくれる。
その駆け巡ったスピーチ全文の最後は、こう締められている。
『ぼくら人なるものはすべて、個々の、脆弱な卵なのです。壁に逆らうことなどかないません……それはあまりに高く、陰気で、冷ややかなのですから。ぬくもり や強さを求めて魂をひとつにする、ぼくらはそうやって壁と戦うよりほかないのです。決してぼくらを、システムのコントロールに――ぼくらがつくったものに 委ねてはなりません。ほかならぬぼくらが、そのシステムをつくったのですから。
みなさんに、ぼくの本を読んでくれているイスラエルの人たちに感謝します。願わくば、ぼくらがなにがしか有意義なものを分かち合えますように。ぼくがここにいるのは、ほかでもないあなたたちのおかげなのですから』
酒を飲んで「もう戦争しかないね」なんて不況対策を吹聴している場合ではない。恥ずかしい。
「戦争」というシステムに経済や豊かさを委ねない、そんな「卵」なりの在り方を議論を自分でありたいと思う。
それにしても、こんな村上春樹氏の姿とスピーチが、中川財務相の醜態のニュースで削られたことに腹がたつ。いまの日本の景気対策に必要なニュースは、大臣の恥ずかしい姿ではなく、日本人としての誇りだろう、毅然とした態度だろう、経済合理のシステムに委ねない「卵」の報道だろうっ。