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コンビニの「闇」の中身と、その先。
2009年2月20日の朝日新聞・朝刊。第1面で「セブンイレブン,加盟店の値引きを制限か公取委が調査」と報道した。
FCに加盟しロイヤリティー契約が基本となるコンビニ業界において、その収益の仕組みには、たくさんの「闇」があると言われてきた。
しかし、マスコミで取り上げられるのは、「百貨店の売上げをコンビニが抜いた」など、「光」の部分のみ。「闇」の部分は、葬られてきた。何故なら・・・
①コンビニは、メディアの優良広告主だから。
②コンビニは、雑誌や新聞の重要な販路だから。
マスメディアは、弱腰にならざるをえなかったのだ。なので、今回の「闇」がメディアで明るみになったことは、業界のものにとっては、驚くべきものだった。
取り上げられた事件の全貌は・・・
国内1万2千の加盟店を抱えるコンビニ最大手「セブン―イレブン・ジャパン」(東京)の本部が、傘下の加盟店に対する優越的な地位を利用し、店側が弁当などの売れ残りを減らすため値引き販売しようとするのを不当に制限していた疑いがあるとして、公正取引委員会が独占禁止法違反(不公正な取引方法)容疑で同社の調査に乗り出した。 というもの。
何が問題だったのか・・・
単純なロイヤリティー契約ならまだしも、セブンイレブンは、賞味期限切れで廃棄される商品にまで本部へのロイヤルティーを払う仕組み。いわゆる「廃棄ロスチャージ」問題に、真剣にメスが入ったのだ。
「廃棄ロスチャージ」問題とは・・・
コンビニでは、毎日約1万円から1万5千円の廃棄商品が出ると言われている。
月に換算すると30万から40万だ。これは、利益のことを考えると確実に打撃である。
仮に1個100円で売るおにぎりを、70円の原価で10個仕入れたとする。
この場合、仕入代金は700円ということ。
10個全部が売れれば1000円の売り上げだから、300円の利益。
でも、売れ残るのは世の常・・・。
7個売れ3個売れ残ったとしたら700円の仕入れに対し、売り上げは700円。
ということは、この時点で、利益ゼロ。
スーパーの店頭だったら賞味期限が近い商品は割引して売ることができるが・・・。
コンビニでは、システムとして、それが許されない。
それどころか・・・
残りの3個のおにぎりを本部が廃棄する時に、残った3個分の原価70円×3個=210円の40%=約80円がロイヤリティーとして徴収される。
これが「廃棄ロスチャージ」で、今回の問題になっているところ。
セブンイレブンだけではなく、多くのコンビニがこの仕組みになっているという。
これをひと言で表現すると・・・
コンビニは、売れ残りをある程度出した方が利益を販売店から本部に吸収できるという仕組み。
だから、廃棄が出るように仕入れを強要する。廃棄を出させるだけで、本部が儲かる仕組みになっているである。
では、何故、本部だけが儲かる仕組みなのに、
コンビニーオーナーは、売れ残りが出るような発注をしちゃうのか・・・。
それは、店舗経営者になって考えてもらいたい。
①天候や突発的イベントなど、的確な量の推移は、現実的に困難。
②品切れの場合の機会損失は、気持ち的にも痛手。
③棚に商品が並んでないお店は、そっぽを向かれる。
永続的な売上げのことを考えたら・・・1日、1万円くらいの発注オーバーは、仕方ない。
一度、オーバー発注を止めたら、悪いスパイラルに入りそうな気分になる店舗経営者の痛いところを突かれていたというわけだ。
しかし、最近は、コンビニFC加盟店の一部オーナーが弁当などファストフードの賞味期限が来た売れ残りを「1円廃棄」という手法で処理をしていて、本部が大慌てしているという謀反の動きもあるようだ。
実は、この仕組みについては、2005年2月24日、東京高裁は加盟店側の言い分を認め、セブンイレブン側に約2,243万円の支払いを命じる判決を下している(上告審が進行中)らしいのだ。マスコミの報道で、見たこともなかった。朝日・読売・毎日はこれを完全に無視だったようだ。発行部数が少ない専門紙『日経MJ』において、判決から1ヶ月以上も経た3月28日付で「セブン、加盟店に敗訴『廃棄ロスにロイヤルティー』東京高裁判決」との記事をやっと載せただけだったようだ。
エコ意識が高まる。「もったいない運動」も活発になる。その時流の中で、このコンビニの動きの完全逆流は、マスコミの恰好の材料になってもいいところだが・・・せいぜいネット内での反論に留まっていた。マスコミの自主規制のなせる業だ。
しかし、今回・・・「廃棄ロスチャージ」の闇が、明るみになった。法的な結論は出ているようなので、仕組みの見直しが迫られるだろう。
コンビニの店舗数は、全国で約4万店。
年間売上は、約6.6兆円。
その売上のうち食品類の割合は、75%。
お弁当の年間売上は、約1兆円。
1店舗での1日の弁当の販売数は、約130個。
そして、全国での年間廃棄量は、約2000億円分。
この大きな市場とそま仕組みへのメスは、日本の流通の仕組みを考え直すのに、大きな機転になるはずだ。
「一部負担の解決柵は粗利益分配方式の理念とも一致する。粗利益分配方式の基本理念は利益を共有することである。粗利益分配方式によって利益を共有するならば、その利益を生み出す過程で発生するリスクも共有するのが当然だろう。利益とリスクの共有,それが一体となってはじめて真の共存共栄が達成できるのである」(金顕哲著『コンビニエンス・ストア業態の革新』)
コンビニの「闇」への負担を、流通側だけに任せていたら・・・きっと、店舗が泣く違う仕組みが用意されるはずだ。
エコだ。「もったいない」だ。
そう言うなら、私たち消費者も、考え方を大きく見直すべき時だ。
考えてみると、このコンビニの大きな「闇」の片棒をかついでいたのは、我々、消費者ではないだろうか。
きれい事かもしれないが、おにぎりや弁当の廃棄に対して、何か、消費者が負担する仕組みや賞味期限切れ商品に対する理解促進など。
リスクの一部を消費者が賄う意識が芽生えない限り、流通の「闇」は、もっと黒いものになっていく気がする。
参考
「セブンイレブン廃棄ロス訴訟、本部敗訴も報道されず」
「コンビニバイト偏差値」
「財務アナリストの雑感」