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「名物に美味いものなし」は、本当か?

2009年03月05日

古い喩に「名物に美味いものなし」なんと言いましてーなんて、落語の枕みたいに。
不況だ。倒産だ。困ったニュースがあまりに多いので、ここはお気楽に土産話でも一席。

「名物に美味いものなし」とは、名物といわれるものは、えてしておいしくない。名は必ずしも実を伴わないことのたとえであるが・・・果たしてその真相は。マーケティング的に考察してみたい。


名物と言ってもいっぱいある。それぞれの地域で、「名物にうまいものあり」と反論もあろうかと思うので、ここでは、「名物土産」というジャンルに絞ってみたい。正確に言うと『名物土産に美味いものなし』をマーケティング的に考察する。



先ずは、ついつい買ってしまう全国各地の名物土産とは何か、その実態を見てみよう。
gooランキングに、「私の好きな全国の名物土産ランキング」があったので転載する。
1位 白い恋人 北海道
2位 長崎カステラ 長崎県
3位 うなぎパイ 静岡県
4位 八ツ橋 京都府
5位 赤福もち 三重県
6位 萩の月 宮城県
7位 鳩サブレ 神奈川県
8位 もみじ饅頭 広島県
9位 東京ばな奈 東京都
10位 ちんすこう 沖縄県
11位 信玄餅 山梨県
12位 草加せんべい 埼玉県
13位 ういろう 愛知県
14位 神戸風月堂ゴーフル 兵庫県
15位 笹だんご 新潟県
16位 きびだんご 岡山県
17位 かもめの玉子 岩手県
18位 芋けんぴ 高知県
19位 かるかん 鹿児島県
20位 南部せんべい 青森県
21位 一六タルト 愛媛県
22位 ゆべし 福島県
23位 羽二重餅  福井県
24位 博多通りもん 福岡県
25位 だだちゃ餅 山形県
26位 吉野の葛餅 奈良県
27位 くるみ餅  宮崎県
28位 八街ピーナツ 千葉県
29位 雷鳥の里 長野県
30位  あわおこし 大阪府

なるほど・・・言われてみれば、名前だけは知っている。
これぞ、名物だ。
この半分くらいは、出張のお土産等で頂戴した覚えがある。
しかし、私的な感想で申し訳ないが・・・「すごい美味かったなぁ・・・」って記憶は、あまりない。
いただいて食べるのは、それでよしなのだが・・・取り寄せまでしてもう一回食べたい位においしいかと問われると、甚だ疑問である。
・・・かと言って・・・決して、拙いわけではない。


要は、
名物土産って、
特別に美味いものは少なく、
そこそこのものは山ほどあるのである。



では、そういう状況になってしまったのは、何故なのか。

お客様の意識
①美味しいより「どこへ行ったか」が大事。
“旅行”を選ぶ時に重要視する事(ポイント)は何かという調査によると、当然のことながら「場所」が1番で、2番目に「ホテル・旅館」、3番目に「値段」、4番目に「食事」となる。旅をする人間とっての1番のポイントが「場所」で、味に対する意識が後回しになるなら、土産選びも然り。「どこへ行ったか」の主張と、その共有が「土産」の基本となる。

供給側の都合
②市場が全国区=工業化+流通優先。
名物になると売れ始める。売れ始めるということは、工業化を進めざるをえなくなる。流通チャネルの開拓が優先になる。するとコンプライアンスが重要になる。昔ほど、味にこだわれない。こだわるのは、安心や安全や、安定した商品供給ということになる。


工場のラインを揃えたら、その維持のためには、流通チャネルの確保とその維持が必要なために、販促費用と流通マージンが必要となる。そうやって、市場は全国に広がるが・・・結果、すべてが画一的になって、均質化していく。「まずくない」ことが最低基準となっていく。


そうなると、一見さんの観光客との接点が重要なので、主要交通拠点での土産店の販売は、一種異様なオーラを放つことになる。そのオーラ込みで、名物土産の市場は成立している。



価格と中身
③名物土産に安いものなし。
上記のようなお客様の意識+供給側の都合によって、当然、価格に販促費や流通対策費が加算されるので・・・土産物は、地元のお菓子とかより、比較的高くなる。味と価格のバランスを正確に考えた場合、不釣り合いな事が多い。これも、「名物に美味いものなし=期待はずれ」の大きな要因だろう。


・・・では、それだけかなのか?
名物土産が「そこそこの量産」化に走る原因は、それだけか?
そこで、皆さんに考えてもらいたい。
実は、それぞれの名物のある地元の人々は、その名物を食しているのか?
私は、福岡在住なので・・・「24位 博多通りもん」が、
いまの博多土産の主流ということになる。
他にないミルク餡が、なかなかいけてる。
でも、おまえは、それをいつ食べたのか?と言われたら、遙か昔のことだ。

④名物土産は、地元で食べている者なし。

京都にも5年住んでいたことがあるが、
「4位 八ツ橋」を、その地で食べた事など記憶にない。
「東京バナナ」を、東京の人達が食べているのを見たことない。
名物土産って、地元にとっては、近いようで遠い存在なのだ。
言い換えると、近いところでのPDCAが回らない・・・
強いチェック機能が働かない商品であると言える。


悲しいことだが、地元の人達が、毎日食べて、切磋琢磨を続ける商品は・・・
こだわるが故に、決してその生産量は、全国の規模にはならない。
過剰販促で、お化粧をすることもない。
「地元名物に美味いものあり」であり、
「全国名物に美味いものなし」なのである。


だから、観光客や出張族にとっての
名物土産は、「安全パイ」という大人のお土産なのである。
お後がよろしいようで・・・・。

執筆者: 中村修治/へそ社長