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スタバより、喫茶室ルノアール論。
何年ぶりだろう・・・先日、東京出張の際に、新宿西口の喫茶室「ルノアール」を利用させてもらった。打ち合わせまでの時間潰しで入っただけなのだが、何故か、すごく落ち着いた。
スターバックスの成長が鈍化する中で、おなじみ喫茶室ルノアールに、、、伸びしろがある気がした。
東京に住む人なら誰もが目にしたことがある喫茶室「ルノアール」。スタバなどの欧米スタイルのカフェ隆盛の中、「残念な喫茶店」の様相を呈しているかと思いきや、、、ルノアールを経営しているのは、株式会社銀座ルノアールという列記としたジャスダック上場企業。コーヒーチェーン業界としては日本で初めて、「ドトールコーヒー」よりも先に株式公開を成し遂げた会社なのである
直近の決算短信によると平成21年3月期の連結売上高は、58億3100万円。前年比2.4%増であるから、この不況期にも大健闘である。主な事業は、喫茶等事業。喫茶店112店舗を首都圏中心に展開。
内訳は、おなじみ喫茶室ルノアールが、85店舗。カフェスタイルの低単価コーヒーを提供するニューヨーカーズ・カフェが、12 店舗。個室スタイルのカフェ・ミヤマが、9 店舗。カフェ・ルノアールが、6 店舗。2008年には、5店舗を新規オープン、既存の店舗10店をリニューアルオープン。その店舗のすべては、フランチャイズ方式の出店を行わず直営店方式による展開で、多様に市場に応えている。決して「残念な喫茶店」を運営する、「残念な企業」ではない。経営方針が明確な優良企業だ。
喫茶室「ルノアール」は、決しておしゃれではない。若い人達から見れば「オヤジが入る喫茶店」だろう。冷たい水と一緒に出された、分厚いタオル地のあったかいおしぼりで手をふき、かぁーっと顔を拭く。でも、それが許されているのが、喫茶室「ルノアール」だ。だから、オヤジくさいサラリーマンがたくさんいる。仕方ない。
しかし、隣のヒトがオヤジ臭くても、席と席の間がゆったりとられている贅沢スペースだから、あまり気にならない。自分で、コーヒーのお運びをしなくてもいい。コーヒーのサイズなんて聞かれたりしない。店員さんのサービスも行き届いている。コーヒー飲んでしばらくすると・・・お茶が出てくる。メニューも難しい名前のものがない。いたってシンプルで、そこそこうまい。
2人席から4人席への移動をお願いしたら、快くオッケーしてくれて、飲みかけのコーヒーの移動を手伝ってくれた。そして、「ごゆっくり」と声をかけていただいた。その「くつろぎ感」 と 「目配り」と「気配り」。スタバや、タリーズや、いわゆるカフェチェーンには、ないものだ。ビジネス的に、経済合理を追いかけない良さがある。まさしく、40を過ぎたオヤジにとっては、「都会のオアシス」である。その古いもの言いが、ピッタリはまる。
そこだ、、、そこが、ミソなのだ。
何故、「喫茶店」ではなく、ルノアールは、わざわざ「喫茶室」と明記しているのか。喫茶室ルノアール情報を中心に都内で働くビジネスマンを応援するサイトには、こんなことが堂々と書かれている。
「平日は商談・休憩・お昼寝のために利用し、土日は読書のためにルノアールに立ち寄る。そんなルノアールが生活に欠かせないビジネスマンを応援いたします。ルノアールは喫茶店ではなくあくまで喫茶室ですので、コーヒーを飲みに行くのではなく、あくまで何かを行う、それが営業中のお昼寝であったとしても、場所・スペースを求めるあらゆるビジネスマンの味方です。」と。
だから、よーく見渡してみると・・・
書類に目を通す人。
本を読む人。
商談(らしき会話)をする人。
互いに立って名刺交換している人。
ちゃんと整えられた電源を利用して仕事を黙々とこなすヒト。
いびきをかく勢いで大胆に眠りこける人。
ただひたすらタバコを吸う人。
ほんと、自由自在だ・・・。
コーヒーを飲みに来ているのではなく、「何かをしに来ている」のだ。「喫茶店」ではなく「喫茶室」としての面目躍如である。
喫茶室「ルノアール」は、コーヒーを消費しにいく場所ではなく、何かをしにいく=生産の場所であり、目的の場所なのだ。だから、目的の内容は違えど、「目的を達成しに来る」という同志である空気感が、店舗内にある。やっていることは、バラバラなのだが、「自分の居場所」を共有している連帯感がある。隣でせっせと仕事をするおっさんを、私は、実際には、知らないが・・・なんとなく知っている人であるような気がするし、私自身が、そう見られている気もする。
「顔見知り」&「馴染み」感とでも言うのだろうか・・・・。喫茶室「ルノアール」の目指す「くつろぎ」「安心」の根底とは、そういうものではないだろうか。その「顔見知り」「馴染み」感があるが故に、実に、街との相性が良い。その街のルールに、その街の生業に、ひしっとはまっている。だから、喫茶室「ルノアール」は、街の風景として記憶に残る。
それと比較して・・・スターバックスは、どうだろう。
ルノアールと同じように、職場とも家庭とも違う安心して集うことのできる「第三の場所(サードプレイス)」を求める人々の欲求を満たしたところに成功の秘訣があると言われている。しかし、それは、ルノアールとは、異質のものだ。
互いに、職場とも家庭とも違う、非日常のプレイスであることは間違いない。しかし、スタバは、何かと何かの、時間の合間のプレイスである。目的ではなく、日常生活の中継拠点としてのプレイスである。目的の場所ではなく、機能優先の場所である。
街のシステムとしてのプレイスであるから、思い思いに過ごす人達が、「群」にしか見えない。お客様が、互いに消費者であり、同志ではない。その機能を享受しているだけである。便利で、おしゃれなのだが・・・喫茶室「ルノアール」で感じる一体感がない。喫茶室「ルノアール」が、「自分の居場所」であるなら、スターバックスは、「みんなの居場所」ということだろうか。だから、どの街に行っても、スターバックスはスターバックスで。その街のルールとは、異質な感じがある。
ただのおっさんの屁理屈と言われればそれまでなのだが・・・。スターバックスを商談の場所に選ぶビジネスマンより、喫茶室「ルノアール」を商談の場所に選ぶビジネスマンの方が、コミュニケーション上手の、できるビジネスマンではないだろうかと思う。しゃべりやすい、落ち着くというだけでなく・・・ビジネスの同志である連帯感を、お店の空気が一気に後押ししてくれるから。
カフェチェーンやマクドナルドは、コーヒーのそのものの味で、競争力を高め合ったりしている。メニュー開発や、販売促進に躍起になっている。その一方で、喫茶室「ルノアール」は、密かに復活。カタカナのマーケティング用語で、その強みを分析することは難しい。『喫茶室』へのこだわりは、コーヒー戦争とは、一線を隠している。これぞ、戦いを略す。「戦略」ではないかと考える。