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鉄道で自殺しちゃう件っ。

2010年05月06日

とびだすな 電車も キュウリで トマトじゃない。
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「○○駅で発生した人身事故の影響で△△線は一時運転見合わせております」こんなアナウンスは、日常茶飯事である。
黄金週間の中日にも、上下計5本が運休、約3万5000人に影響する新宿駅での人身事故がニュースになっていた。

どうやら都心部での鉄道自殺は増えているらしい。
今年1月24日に配信の産経ニュースによると・・
http://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/100124/dst1001241613004-n1.htm


線路への飛び込み自殺で平成20年度に30分以上遅れたり運休した列車は全国で3万5300本。国土交通省調査の詳細なデータのある14年度以降で最悪の数字で、ここ4年連続で増加している。
その詳細は・・・20年度の鉄道自殺は647件で、遅れや運休が出た列車は3万5300本と16年度の1万9700本から1・8倍に増加。このうち首都圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)が2万1100本と、全体の6割を占めている。

20年度の鉄道自殺は647件の6割が首都圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)で起こっているとすると388件。毎日1件の割合で首都圏の鉄道で、自殺騒動が起こっている計算になる。もう日常風景である。

自殺が多い鉄道路線は、平成18年度の集計による下記の記事を参考にすると・・・
http://www.mynewsjapan.com/reports/1204

1位は、JR中央線。
死亡者数トップは中央線の21人。08年度は東京と高尾を結ぶ32駅のうち15駅で死亡者が出ており、とくに高円寺から豊田の間に集中している。複数の死亡があったのは御茶ノ水(3人)、荻窪(3人)、西荻窪(2 人)、武蔵境(2人)の4駅。死因別では、自殺20人、転落1人だった。


2位は、JR京浜東北線。
大宮から横浜までの35駅で18人が死亡した。17人が自殺、1人がホームから転落した後に轢かれた。駅別では、赤羽で3人が死亡したほか、蕨、浜松町、大井町で各2人、川口、西川口、東京、新橋などの各駅でも1人が死亡し、計13駅で死亡者が出ている。


3位は、JR山手線。
山手線では池袋(3人)、東京(2人)、巣鴨(1人)、駒込(1人)、田端(1人)など9駅で12人が死亡した。すべて自殺による死亡者だった。

鉄道自殺を試みる人達が選ぶ路線は、首都圏の主要路線である。最初の記事で上下計5本の運休で約3万5000人の足に影響が出るということを基準とするなら、1本あたり7千人に障害を生むことになる。


首都圏では年間2万1100本の列車が鉄道自殺により輸送障害が出ていると言うことは、延べ人数を単純計算すると・・・なんと年間1億4770万人が、その影響を受けているわけだ。


首都圏に住む人口を考えると、年に7回から8回は、鉄道自殺の巻き添えの影響を受けていることになる。


このように、鉄道自殺は・・・他人を大量に巻き込む。
特に首都圏では、その数が半端ではない。言い換えると、他人を巻き込む数が多い路線ほど、鉄道自殺の場として選択されていることになる。さらに、死体は原型をとどめず、その遺体処理に当たる乗務員や、その様子を目の当たりにした乗客の心のトラウマになることが指摘されている。[h]『他人に迷惑をかけるという率』は、他の自殺手段とは比にならないほど、高いのだ。[/h]


では、なぜ、こんなに迷惑をかける自殺手段を選択するのか。一連の記事の中で、江口昇勇(のりお)・愛知学院大教授(臨床心理学)は、多方面に影響を与える鉄道自殺を選ぶ背景には、「自分の存在を何とか知ってもらいたい」との思いがあるのではないか。と指摘されている。


本当に、そうなのだろうか?「自分が飛び込むことによって他人に迷惑をかけてしまう」、「親が鉄道事業者から賠償請求をされてしまう」、「自分の遺体を見た家族が悲しむ」なんて考えずに、「これに飛び込めば自分は死ねる」ということしか考えていないのが本当のところだろう・・・。


「これに飛び込めば一瞬で済むから苦痛も感じない。」その衝動的な選択動機よりも、、、、「最期に自己を多くの他人に認めてもらいたい」「いま動いている社会を道連れにしたい」動機が上回っていると考えるのは、自殺をするまでに至らない我々社会の側の勝手な推測であり、傲慢である。鉄道自殺の衝動を多くの人が責める背景は、ここにある。

自殺は、当然、社会にあまり報道されない。しかし、鉄道自殺は、、、ニュースになる確率が高い。さらに、「○○駅で発生した人身事故の影響で△△線は一時運転見合わせております」というアナウンスは、首都圏を利用する人達の耳に、毎日1回の頻度で届いているわけである。いちばん身近で、いちばん多く耳に届く自殺が、鉄道自殺なのである。そのニュースやアナウンスを聞く度に、人々の心の中に「迷惑がかかっている=道連れ的感情」が湧く。無意識に、社会に対する「怨嗟の輪廻」を巻き起こしている。


私達は、「30㎝前へ踏み出すことにより死ぬことができる日常がある」社会に生きているのである。[/h]いつ、その衝動が自分の中に沸き起こるかわからない。そのことへの想像も無しに、鉄道自殺のニュースを迷惑だと聞き流す社会が築かれることの方が怖い。


鉄道自殺者が道連れにしているのは、日本人の「日常に牙を剥いている死」への想像力である。

執筆者: へそ社長